どうも、スタイリストの大田垣です。
今日は、特殊カラーについて。そして、それを元に市販との差別化を考えていきます。
特殊カラーについて
髪を白くしたい!!!シルバーにしたい!!!
と思う人、特に学生さんとか多いと思います。
でも、この白。とっても難易度高めなんですよね。
左→Before 右→After
お客様自身の負担(ダメージ的にも、所要時間的にも、経済的にも…)も結構エグイ事になります。
まず、ブリーチ2回以上は必須。
で、ブリーチをするだけでは白にはなりません。
例えばこれ、カラースケール。
ブリーチなしで現存するカラー剤は基本13Lvまで。最近は14Lvのものもありますが、まぁ、13Lvと言ってしまっていいでしょう。
1回ブリーチをすると、せいぜい15Lvくらいです。
2回目ブリーチで、せいぜい17.5Lvくらいです。まだまだ黄色い。毛は瀕死です。
3回目ブリーチで18.5Lvくらい。毛は死にます。
4回目ブリーチで多分19Lvくらい。やった事ない。きっと毛は溶ける。
20Lvみたいな白には、ほぼなりません。そして、ブリーチの可能回数も、もうその人の毛髪の才能次第と財布次第です。
ではどうするか。
本当に白にしたいなら、最低でも18Lvまで頑張っていただきます。
そして、極薄の紫色を使って染めます。
どのくらい薄いかっていったら、一例としては、紫を約20倍希釈くらいの感覚。
黄味の残り具合によって配合は若干変わってきますが、
少し紫が多かったりするだけで、紫が入ってしまうので、薬を量るのに細心の注意が必要です。
で、月1で、白く染めに来るお客様(上の写真の方)が居るのですが、
コストがやはり気になると言うことで、「どうにかしてやれないか…」とひたすら考えてみた結果、
1回、根元+αの幅だけブリーチして、トナーで色を入れる。(厳密に言えば、カラーシャンプーを自作する。)という提案をさせていただいております。
結果的にブリーチ1回なので、その時の根元の黒い部分は黄味が若干強く残り、
前回染めた根元だった黄色い部分までついでに塗る(結果的に1ヶ月越しの2回目ブリーチ)。
その上にまとめて、トナーシャンプーをすることで、黄味を消せる部分、消せない部分…とどうしても誤差は生じるものの、
コストと、仕上がりのバランスに於いて、お互いの妥協点としております。
その中でも僕は、どうにか残る黄味と闘いたいので、色々試行錯誤をした結果をカルテに書いて、次の改善に活かすようにしています。
例えば、
「BLUE(青):C8-VL(紫):クリア(透明)=10g:3g:10gにシャンプー8プッシュ
=セフィロス」←FFⅦボスキャラ
って書いてあります。
で、例えばこれの紫やら青やらが1gでもずれると、色は変わります。
この写真の時は、2回、ちゃんと根元ブリーチをした後に、色入れしていますので、根元まで綺麗な白です。
で、最近は方向性が少し変わったのか、少し暗めのグラデーションシルバーに。
シルバーのグラデーションにする!!!!
グラデーションなら根元ブリーチ1回でも充分です。
ブリーチせずにカラーしても良いんだけどブリーチをしていた方が、褪色したときの毛先の部分との馴染みが断然良いので。
…毛先はかつてのホワイトカラーで死んでるので、写真切らせてください………。
でも、これはこれで格好良いですね。
根元0~3cm(ブリーチ後)
3Lvのグレー単品
根元2cm~8cm
9Lvのグレー単品
根元6cm~毛先
13Lvのシルバー単品
少しずつ、薬の切り替え部分はボカシの為に重なるように塗っています。
配合自体はシンプルになりましたが、塗り分けが大切なパターンです。
白を極める!!!!
白のクオリティ極める為に試行錯誤していた頃は、配合が超複雑で、一番やばかった時期は
計算の鬼になりました。
勿論、使うカラー剤のメーカーによって色の濃さは変わるので、どの商材を使ってもこれで白くなるとは限りません。
最初は単純に黄味を消す為に、紫を薄めた配合で染めたら、放置時間によっては、少しピンクが出て安定しなかったので、
「そりゃそうよな。。。紫って言っても、赤寄りか青寄りかってあるもんな…。この薬の紫はきっと赤寄りなんやな…。」という反省。
そこで、赤を打ち消す緑を加えた結果、赤は消えたものの、やっぱり安定しないし、持ちが弱いという気付き。
なるべく無彩色系の色相、つまりモノトーンの色相に寄せる為に、少し青を強めに混ぜる。
そうして行き着いた結論が、この阿呆のような配合でした。「もっと簡単に出来るよ」って笑うなら笑ってください。
実用的ではなかったものの、次第にコツを掴んでは、もっと簡略化できる事を確信し、結果的に簡略化も完了。
これは僕の武器なので、これ以上は明かしません(笑)
ただ、この試行錯誤こそが、お客様の為の僕なりの向上心であり、誠意であり、責任意識であり、奉仕の心でした。
市販には出来ない、作れない価値は、確かにある。
何気なくカウンセリングの中で、サラッと決められていると思われがちなカラーですが、(サラッと決めることもありますが)
結構こういった、細かーーーいこだわりを詰め込む美容師さんも多いです。
つまり何が言えるのかというと、
市販と比べるとお店のカラーって値段高いけど、値段以上の価値を感じませんか???
まぁ、これは極端な例で特殊ではありますが、
3色くらいなら混ぜる事なんて普通に多いし、3箇所くらいなら別の薬で塗り分ける事も普通に多いんです。全然特別ではありません。
でも、そこには美容師の、お客様一人ひとりに対する色んな思惑、計算、対策が散りばめられていたりします。
勿論、「複雑な配合をする=カラーが上手」ってことではありません。そこは断固、否定します。
むしろ、「簡単な調合でドンピシャのカラーが出来るほうが玄人だ」と僕は思います。
でもやっぱり、お客様の悩み解決や、魅力を引き出すのに、素材を見極めて、必要に応じたこの複雑さが必要だったりすることも多いと思います。
そして、それは市販にはない、プロのカラーの魅力だと思います。
市販カラーを否定するわけではありません。色々な価値基準があります。
しかし、安易に市販カラーを手に取る前に、今一度、この価値について、考えてみるのもオススメします♪
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