どうも、スタイリストの大田垣です。
先日、メンズスタッフのみの勉強会がありました。
前回の内容は「セニング」。毛量・質感調節ですね。
僕も毛量・質感調節に関しては独学です。
「使えるものは使う」というのは僕のモットーの一つでもあるので、先輩スタイリストのやり方、本で見たやり方、教材DVDなど、技術も理論もとりあえず盗む。
実際にマネキンでひと通り試して、「こうやったらこうなるのか。ならあの方のこの部分に使えそうだな…」という感じで取り入れています。
(逆に「これは使わなくていいや。」てのも勿論あります)
とりあえず、このセニング講習で学べたことが、漢塾始まって今のところ、最も役立っている気がします。
梳くことに対して、考えがとてもシンプルになりました。
そして、梳いたときのツヤが随分増したように思います。
で、それらの技術や知識を駆使して、皆で雑誌の同じスタイルを切ってみよう!!!という回でした。
コピーカットってやつですね。
お客様とかしていても、似合う似合わないがあって、「持ってこられた画像と全く同じにする」ってなかなか無かったりもしますが、
そのスタイルの可愛い所、好きな所を取り入れながら近いバランスを作っていく感じですね。
言い訳っぽく聞こえるでしょう。(笑)
でも実際、コピーカットはできます。
ただ、本気のコピーの難易度は結構高いと思います。
360℃見回せて、触れて、とかできたら難易度は下がりますが、
写真を1枚見ただけで、全てを見破るのは相当難しいですね。
「耳に掛けている」ってだけで、正確な長さって曖昧になってきますし、見えない部分もいっぱいありますから。
どれだけ隠された細かい情報に気付けるか、想像できるかが大切です。
実際の写真を見て30分でベースカット、調節、スタイリングまでするという課題でしたが、
(画像は最後に載せています)
前髪の長さだけでも意見が割れました。
僕と廿日市の宗田くんは、「鼻が隠れるくらい」もしくは「口に触れるくらい」という判断でしたが、
寺岡部長の
「まぁ、良くあるミスで鼻らへんで切っちゃいそうだけど、実際はもう少し長いかもね!」
という声に引っ張られたのか、他のスタッフは顎らへんで切っていたりしていました。
どっちが正しいというわけでもなく、見えたように切れば良いと思うし、僕はその辺頑固かもしれないので、
(いや、絶対鼻らへんでしょ)という判断の元、貫いてみました。
一つのスタイルを作るための道筋は無限。
無限です。答えなんて無いです。なんならフリーハンドでも良いです。
でも、それだと運任せなので基本技術と応用技術と、理解度が必要になってくるんですけど、
今回は色んなものを試したかったので、特殊な切り方をしてみました。
これを見てください。
展開図というやつです。
「どうやって切ってるの?」って疑問もたまーにありますが、こんな感じで考えたりしています。
髪を切る際におそらく、美容師の頭にある設計図のようなものです。
カット勉強し始めるアシスタントの多くが、これに悩まされます。僕も悩みました。
でも、ある師匠に習ったときに取り組んだこと。
カット本に載っているスタイル全部の展開図を描く。
これを2日で2冊くらいやって気付きました。
「え、これ、ほとんど全部切り方同じじゃん。」
そうなんです。ほとんど切り口は同じなんです。細かーい長さ、角度、質感、見せ方が違うだけ!!!!!
最初はこんな図みたいに考えたら地獄のように思えますが、だんだんとこういう風に考えられるようになるんだな…としみじみ感じます。
オレンジが、切る際に考える区分け。
黒が大まかなカットライン。
青い矢印が区分けごとのスライドカットによる毛流れの方向付け
説明しようものなら、
「襟足やもみ上げ付近はタイトに、ショートの骨格を格好良く見せるためにダイレクションをかけながらステップボーンカットによるディスコネクションを……」
「トップの方は重たさを残しつつ、ベースカットの段階でスライドで丸く入れることで層の重なりに隙間を作って、動きとニュアンスを……」
とか、専門用語やら、考え方が飛び出しまくります。
こんなん独学ですやん。こんな複雑なんマニュアル化とか無理ですやん。
でも僕ですら、お客様と、キャッキャ、うふふと盛り上がりながら、実はそんなことを考えて切っているんだから、
凄い人は本当に凄いんだと思う。とはいえ、
実際は、シャンプーとかしながら考えるだけ考えて、後はほぼ全自動で切っている感覚です。
カットは知れば知るほど奥が深くて、技術も考え方も様々で、
僕が知らない技術なんて、気が遠くなるくらいあるんだと思うのですが、
より良くお客様に提供する為には、もっと多くを貪欲に知るべきだし、幅を利かせたほうが良いんだろうと思う。
切り方のプロセスに正解なんて無いので、自分の信じたやり方が正解だと思うし、
その時、正解だと思っていないものを提供するのはどうかと思うし、
省みた時に「あーーーー!!下手くそやな。もっとああすりゃ良かった!!!」って思って、精進すればそれで良いんだと思います。
当日切ったものを、後日、ちゃんとスタイリングしてみました。
→『ar』2月号/㈱主婦と生活社
p.69より
どうでしょうか。記憶任せでのカットなので細部は異なっていますが、結構、コピーできていると思います。
まだ左サイドの毛と、右の厚みと、後頭部のすっきり感が物足りないですけど。
こういうコピーする練習ができた上で、
「一人ひとりに似合わせするために、同じように切らない技術、知識、理論」
ってのをもっと個人的には磨かないとなー。って感じています。