どうも、漫画が好き過ぎる美容師の大田垣です。
世間はコロナで超自粛ムード。
しかし、僕は普段からインドアなので、「一人の時間を楽しむこと」において、事欠くことはない。
それどころか、人生において、常に自粛しているとも表現できる。
そんなプロのコモラーです。
そんな僕の素性を知ってか、「コロナで暇です。なんか良い漫画、ありますか?」って聞かれる事が増えた。
正直、テンション上がる。
美容の話も勿論メインでしますが、アイデンティティとして、たまにはこういうコーナーも作ってみるのもアリかな…と。
アリなら月1~2くらいで…(笑)
ちなみにどのくらい漫画が好きかというと、
多分、2,000冊くらい持ってる。
という事で、記念すべき(?)第1回、何をお勧めするか、迷いました。
第1回なので、「有名なやつ!」って迷いましたけど、
否!!断じて否!!!
僕がここで「鬼滅の刃!!!」とかいう人間だと思いますか!?
んなわけない!!残念!!!
『亜獣譚(あじゅうたん)』
基本データ
作者 / 江野スミ
出版社 / 小学館(裏サンデー)
読めるアプリ / マンガワン
発刊 / 8巻完結(4/17発売)
ジャンル / ダークファンタジー
世界観・設定
人が徐々に獣の姿に変化していき、理性を失い、人を襲うこともある。そんな感染症、「害獣病」が蔓延する小国、ノピン(NOPPIN)が舞台。
害獣病とは性交渉などの血液感染、粘膜感染が主な原因と考えられる。
害獣化した人間は、害獣駆除兵によって、直ちに処分される。自己、他者問わず、害獣の存在を意図的に隠蔽したり、保護する事は、厳罰が科せられる。
害獣病患者は、抑制剤を摂取し続ける事で害獣化の進行をとめる事ができるので、人としての生活は可能。
ただし、患者の子は、重度の害獣化した状態で産まれてくるため、法では陽性が出た時点で患者の繁殖機能は切除する決まりになっている。
しかし、害獣病患者の子でも、稀に先天的に害獣病の抗体を持ち、ちゃんと人の姿をして産まれるウイルス保有者がいて、「ヴィエドゴニャ」と呼ばれる。
ヴィエドゴニャは、抗体のおかげで、薬を飲まなくても生きている間に発症することはないが、ウイルスは増殖し続ける。
勿論、感染源にはなるので、通常患者と同様、ヴィエドゴニャも去勢などの処置が義務付けられている。
ヴィエドゴニャは「生きている間は発症しない」。言い返せば、死ぬと必ず害獣化する。
あらすじ
害獣駆除兵である主人公のアキミア・ツキヒコは、害獣駆除のために、標的のいる森へ入る。
標的の害獣を捉え、トドメを刺そうとした瞬間、覆面の兵士に不意討ちをされ、害獣の追撃により重傷を負い、倒れる。
そこへ偶然、衛生兵の女性、ホシ・ソウが現れ、倒れているアキミアを保護し、治療する。
アキミア「なんで女性がこんな森に?」
ソウ「弟が森へ入ったのですが、見ませんでしたか?ずっと探していて…」
アキミアは、自分が重傷を負った経緯を話し、覆面の兵士が、ソウの弟である可能性を伝える。
アキミア「もしそうであれば、あなたの弟は処刑しなければなりません。」
ソウ「そんな…!」
アキミア「…ただ、僕と結婚してくれたら…弟を見逃してやってもいい。まぁ、弟の死体を見たいのなら別ですが…。」
ソウ「は……?」
夜。そこへ別の害獣が2人を襲う。
重傷のアキミアは、満身創痍で害獣と闘いながらソウと避難。
絶体絶命の状況下、避難した大木の上で、二人は死を覚悟する。
アキミアは「どうせ死ぬなら…ここで夫婦になりましょう」と説き、ソウを一方的に誘う。
ソウは拒むも、恐怖と弟のこともあり、次第に受け入れていく。
翌朝、ソウが起きると、アキミアは昨夜の害獣を何食わぬ顔で駆除していた。
ソウ「私は…アキミアさんと結婚します。なので弟は助けて下さい。」
弟を助けるために脅迫を飲んだソウ。不気味に笑うアキミアは衝撃の一言を放つ。
「実は俺、ヴィエドゴニャなんです」
この漫画の見所
さて、ここまで世界観を理解して、あらすじを読むとどうですか?
個人的には、この設定とあらすじだけでも面白い!!!!
そう、皆さん、お気付きの通り、
主人公のアキミアは、登場時、マジでクズ以下です。
胸糞。ほんま胸糞。
2巻くらいまで基本的に胸糞。
読み進めていくと、少し優しいただの変態ゴリラに昇格します。
しかし、勘違いしないでほしい。「胸糞=面白くない」という訳ではない。
設定がしっかり練ってあり、面白い。
人物の思考回路が少し壊れている点を、「気持ち悪い…」と単なる胸糞で拒絶してしまうか、「なぜ壊れているのだろう…」と汲み取れるかで面白さは変わる。
この漫画は、圧倒的に救いの無い、心がぶっ壊れた最強の兵士アキミアと、
絶対的な赦しと愛でアキミアを救おうとするソウの、
歪みと残酷な運命を超えた、純愛の話。
ラストもゾワゾワッと感動の鳥肌で終わります。思い出してもウルッとくる。
これを純愛と言えるかは怪しいが。
読み進めていくうちに、最強の兵士であるアキミアがヒロイン、戦えないか弱い女性のソウがヒーロー。
そんな逆転したポジションになっていくのも面白い。
あと、ソウがとにかく素敵。
この世に
残酷な物語が必要である理由のひとつは
こうである。
人は「恐ろしいこと」を知らないと
「恐ろしいこと」を知っている人の心を
知らず知らずのうちに否定し、
傷つけてしまう。
万人受けするとは言えないし、これを好きというのも、人柄を疑われそうで、正直、少し抵抗がある。
ただこの重厚なストーリーが、8巻で綺麗に完結する。
知る人ぞ知る、本気で面白い漫画です。