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2019.05.08 大田垣 成俊
【書籍紹介】『ここは今から倫理です』【不安は自由のめまいだ】

どうも、漫画の紹介でも、「書籍の紹介」という風に言えば許される気がする。スタイリストの大田垣です。

 

 

 

 

僕は狂ったように漫画が好きなのですが、全部が好きなのではなく、やはり好きなジャンル、毛色のようなものがあります。

 

 

 

 

例えば、萌えとかは大して好きではないです。むしろ、話は面白いのに変に媚びた萌えキャラが出てくると、「要らんことすな」って思います。

 

 

 

 

好きなジャンルや系統で言えば、シリアスなもの、歴史物、軍事物、心理描写が濃いもの。

 

 

 

 

 

 

何も考えずに読めるものも悪くないとは思いますが、やはり、何か感動したり、心突き動かされるものに惹かれます。

 

 

 

 

 

で、今、自分の中でかなーーり好きな漫g…書籍がありまして、

 

 

 

 

 

『ここは今から倫理です/雨瀬シオリ』

 

「ここは今から倫理です」の画像検索結果

 

 

 

『ALL OUT』というラグビー漫画を買っているのですが、作者が同じということで、勝手に信じて買ってみたのですが、

 

 

大正解でした。

 

 

 

 

高校の倫理教師の話。

 

 

 

 

英国社理数の主要五科目。

 

 

副教科、または選択授業である、体育、音楽、情報処理、技術、家庭科…。この辺は自分の通っていた高校で扱っていたので、ピンと来ますが、

 

 

 

倫理は学んだことはなかったので、言葉は知っていても授業内容はピンと来ません。

 

 

 

かろうじて大学で倫理学概論という授業を履修していたので、カント、ソクラテスなど、哲学に通ずるものというのは感覚的に分かっていましたが、

 

 

 

 

 

やはりただの堅苦しい授業。面白いと思ったこともありません。

 

 

 

 

 

が、この漫画における倫理の導入で、心が鷲づかみにされました。

 

 

「ここは今から倫理です」の画像検索結果

 

引用:雨瀬シオリ『ここは今から倫理です。(1)』

https://comic.k-manga.jp/feature/sp1036

 

 

 

 

ストーリーの内容としては、生徒の一人ひとりの抱えている問題を、過去の偉人の言葉を引用しつつ、それを噛み砕き、日々の生活に置き換えながら向き合う。といった感じか。

 

 

 

 

 

基本的に、生きる上での問題を題材にしているので、話の内容自体は重めのものはありますが、

 

 

 

どれも印象的で、読後感が非常に良い。

 

 

 

 

 

 

 

 

個人的に印象的だった話。

 

 

 

 

「不安は自由のめまいだ」という、キルケゴールの言葉。

 

 

人は漠然と自由を求めがちだが、必ずしも自由と幸福が結びつくとは言えない。という話。

 

 

 

 

 

俗に言う、母子家庭の不良少年がいました。不良とはいっても大きな悪さをするわけでもなく、、、

 

 

 

授業は別に寝ても良い。受けなくても良い。自由。

 

 

退屈で退屈で、深夜、仲間とつるんで近所のコンビニでたむろする。自由。

 

 

こんなにも自由なのに、時間が有り余るのに、何故か焦燥する。

 

 

 

 

 

主人公は自分の授業を寝てばかりいる不良少年に、「話がしたい」と自分の携帯番号を教える。

 

 

「気が向いたらいつでもかけてください。でも、もし、それがいたずら電話であれば、二度と出ません」

 

 

 

 

電話をする、しないの自由。話すか悪戯をするかの自由。

 

 

 

 

家に帰り、携帯を前に迷う少年。

 

 

 

とりあえず、仲間とダラダラしにいつものコンビニへ向かう。

 

 

 

この話をすると、仲間たちは携帯を取り上げて、「マジかよ!めっちゃ面白いじゃん!!イタ電しようぜ!イタ電!!」

 

 

 

と、少年の制止を振り切り、勝手にイタズラ電話をしてしまう。

 

 

 

(こいつら、マジでつまんねぇ…!!)

 

 

 

 

 

 

「すごく勿体無いことをした気がする…。」

 

 

そんな後悔を持ちつつ、後日の夜中、話をしてみようと、駄目元で主人公に電話をしてみる少年。

 

 

 

 

 

主人公は生徒が悪戯電話をしてきたことを軽く一瞥し、説く。

 

 

 

 

「キルケゴールの言葉に、『不安は自由のめまいだ』というものがあります。

 

 

夜の街を好きに歩くことができる。出たくない授業に出ないこともできる。

 

 

しかし、なにも自分をそこに繋ぎとめるものはなく、どこまでも高く飛べる自由さは、

 

 

あまりにもどこにも行けすぎて、不安というめまいを起こすのですよ。

 

 

 

 

貴方は今、その自由な生活が、どこか不安なのではないですか…?

 

 

そうでなければ、なんで

 

 

 

 

 

私に電話をしてきたのですか」

 

 

 

 

ハッとする少年に、主人公は提案をする。

 

 

なにかしましょう。お母さんの好きな、映画のDVDがある?

 

 

なら外に出る前に、映画を観ましょう。

 

 

見終わったら、外に出てもいいですよ。それまでは外に出ては駄目です。

 

 

 

 

少なくとも、映画に縛られる2時間は、自由はないが不安もない。それは本当に、ただ単純に楽しい時間だから。

 

 

 

 

 

 

好きな事を作るということ、すべき何かがあること、しないといけないこと、

 

 

 

そうやって、なにかに縛られたとしても、そこに対して自分の中で目的を持ち、価値を見い出せるのであれば、

 

 

 

 

不自由ではあるが、幸福ともいえる。

 

 

 

 

 

 

すごく印象的で、素敵な考えかと思う。

 

 

 

 

 

趣味を持つことも、仕事をすることも、勉強をすることも、

 

 

 

 

没頭できるのであれば、そこに不安を感じる余地なんてなく、

 

 

それが自分の糧になるなら、幸福なのかもしれませんね。

 

 

 

 

 

現在、全3巻。オススメします(笑)