どうも、スタイリストの大田垣です。
あらすじ
美容学校で授業をする事になった。それぞれに肩書きがあり、
似合わせお兄さん☆ZAWA → カラーの実演
海外系美容師 Aico氏 → 海外の美容事情や、性質
クリエーター系美容師 坂井氏 → コンテストやクリエイションの話
教師系美容師 大田垣氏 → なんの話?(笑)
本題。
ということで、悩みました。自分は何を話せばいいのか。
商品開発、働き方改革、技術教育、確かに色々携わらせてもらっていますが、
今回は会社説明会ではなく、OBを招いて、美容師として「これから自分ら(生徒)はこういう風になっていくんだ!!楽しみ!!」ってのを示す時間。
商品開発で成分説明をして、通販みたいにするもんでもないし、
働き方改革で、法律の話をして生徒の眠りを誘うのはマズいし、
「うちの会社はスタッフが働きやすい環境を作るために、こういう取り組みをしています!!」ってのも、求人に来たみたいだし。
(まぁ、確かに求人の目的はあるけども。)
学生には、どんな話がピンと来て、響くのだろうか。というのをたくさん考えました。
結果、
「美容師の仕事って何ぞや?」
「その前に、働くって何ぞや?」
「そもそも、人生って何ぞや?」
みたいな、精神的な話にしました。
PROSOLでは、なぜかそういう話を聞く機会も多く、自分で考える機会も多く、
そもそも、僕自身もそういうのを考えるのは大好きで、
たまに考えすぎて、病んだみたいにこじらせます(笑)
そんな感じで、僕が会社で得た考え方、向き合い方って、やっぱり何度も反芻して、僕のものになっていて、
それを伝えられたらな…と考えました。
「美容師の仕事って何でしょうか?」
多分、「美容師が捉える美容師の仕事」と「お客様が捉える美容師の仕事」って違うと思うんです。
意地悪だと分かりながら、「美容師の仕事って何だと思いますか?」と生徒にぶつけてみました。
「髪を切る仕事です」
「髪をキレイにする仕事です」
と狙い通りの回答が返ってきます。
お客様にとっての美容師も、もしかしたらそうかもしれません。
でも、プロである以上、僕らは僕らの価値を最大化していかないといけないと思うんです。
美容師の価値は、髪を切るだけ。鏡の前でキレイにするだけ。
お客様がどこまでの価値を求めるのかは自由です。しかし、美容師が「自分たちは髪を切るのが仕事」と言って、そこで価値が止まってしまうのは寂しいって話です。
「お客様のキレイを継続的にコーディネートする仕事」と伝えましたが、
もう少し噛み砕くと、
365日、容姿を整えることで、精神的にも肉体的にも、美しく、快適、かつ健康に過ごしていただく為のサポートと提案をさせていただく仕事とでも言いますか。
加えて、様々なライフステージに携わり、その方の人生に色を彩るのも僕らの仕事です。
鏡の前でキレイにするだけではなくて、美容院に来られない約360日も、僕らがちゃんと責任を持ちましょうよ。
その為にはちゃんと、お客様が家で使う物、どうケアしているか、過ごしているかというのを、
敢えて強めの言葉をチョイスすると、「指導、管理、教育」しないといけないと思うんです。
その話を絡めて、商品開発の話をさせていただきました。
意外と美容学生って市販のものを使っている人が多かったですね。。。まぁ、高いか。。。
でも、ブリーチしている子も多かったから、やっぱ必須かと思います。
ということで、1つ、じゃんけん大会でプレゼント。一番釣れt……盛り上がった(笑)
そんなこんなで、話に飽きた彼らに一度リフレッシュしてもらい、
シメになる話をしました。
仕事をするのは何のためか。
これも狙い通りの答えが返ってきます。
「お金を稼ぐため」「家族を養うため」「生きるため」「生活するため」
勿論、その通りです。が、敢えてこう言い換えました。
本来、仕事とは「役に立つため」に存在していて、世の中の役に立たない仕事は、そもそも仕事として扱われないし、お金も発生しない。
お金はあくまで「役に立った」という結果の報酬である。
屁理屈のようですがね。(笑)
でも例えば、「お金のため」「生活するため」が絶対的な最重要項であれば、きっと僕は美容師を選択肢から除外し、転職していると思います。
逆に転職する事があれば、「お金のため」に転職します。
(勿論、美容師が儲からないわけではないです)
美容師をしているのは、そこ以外の「こんな分野で役に立ちたい」という所にも価値を見い出しているからかと思います。
何故そういう仕事観の話をするのか
いい会社はあるものを残すと言われています。
お金を残すのは 三流
名前を残すのは 二流
人材を残すのは 一流
これから社会に出て行くであろう彼らに、会社の何を見て欲しいか、を伝えたいと思いました。
そこで、人を育て、人を残せる人になるには、やはり「観念」を醸成していって欲しい。
これも受け売りですが、人生の結果は、
能力×情熱×考え方+出会い×決断
能力と情熱があっても、考え方が人を蹴落とすようでは…
能力と考え方があっても、情熱が無ければ…
情熱と考え方があっても、能力が無ければ…
出会いがあっても、そこで踏み出さなければ、、、、
決断にも3種あり、
動物的欲求に従う、体の決断
損得で考える、ある意味人間的な、心の決断
善悪など、もっと崇高な意志をもって、魂の決断
昼過ぎのかったるい授業。眠たい時間帯で、眠いから寝るのか、
先生に怒られるし、成績に関わるし、ここでいい印象を持ってもらえたら就職に有利かもしれないから、ちゃんと授業を受けるのか、
将来のために何かを得よう、自分の糧にしようと意志を持って授業に臨むのか。
教室にはきっと、色んな決断、考え方、情熱が散らばっていました。
「こんな授業、意味が無い、価値が無い」と切り捨てることも簡単。
どんな決断をしようと勝手ですが、それは自分が値踏みしただけのもの。
「こんなこと、意味が無い」という前に、自分で意味を作り出したか?
僕がよく考えていることです。
「学校の授業なんか意味無いじゃん」という人。
授業では数学の例えを出しました。
平方完成、二次関数、微分積分、三角関数、平方根
「こんなん、絶対将来使わないから意味ないじゃん」と思った時期はあると思います。
目の前に起きた問題を解決するのに必要だから、あの手この手で法則を見つけ出した偉人がいるわけです。
見方を変えれば、微分積分を学ぶことが数学の目的ではないんです。んなこたぁどうでもいい。
答えを出すのに、まずある情報を整理して、色んな道具(公式)があって、試行錯誤していく。
粘り強さと、問題解決力を身に着ける訓練をする学問が数学です。(それをより日常に落とし込んだのが物理だと思っています)
国語、英語、社会、理科でもない、数学だけがこの訓練をするのです。
「資料を作らないといけない。」という課題があり、
ワードを使うか、エクセルを使うか、パワーポイントを使うか。
プレゼン会場が広いからパワポの方が良いか。でもスクリーンも大きいわけではないから、手配りの資料も作ろう。
ワードから作り始めたけど、機能的にエクセルじゃないと難しい。
情報の整理と、使える道具を選んで試行錯誤し、課題を完了する。
やっていることは同じで、これすらも数学的思考といえます。数学苦手な人は、意外とそういうのを考えることで苦労したりするかも。
なんでもかんでも深く考えず、「意味がない」と早い段階から切り捨てるのか、
「こういう意味があるかも」と、自分なりの価値を見い出そうとするのか。
そういう捉え方で、「能力×情熱×考え方+出会い×決断」を考えると、
自分も今まで、色んなものを簡単にゼロにしてきてしまったな…と反省しています。
最後に…
長くなりましたが、そんな話をしてきました。ほとんど受け売りですが、自分なりに解釈した結果です。
終わる頃には、寝ている生徒は少なくて、少なくとも、生徒の目は「なんとなく聞いている目」から「なんか意志がある目」に変わっていたのがハッキリ分かりました。
美容師も切り方、染め方などのやり方に目が行きがちですが、
人生と、社会と、仕事と、人とどう向き合うかを、いっぱい悩んで考えて、一流になりましょう。
そんな話です。
「能力×情熱×考え方+出会い×決断」
能力はさておき、捉え方しだいで、情熱、考え方、出会い、決断、
それぞれに響くことがあったかな…と思います。
講義後、詰め寄る美容学生。
なんか、見に来てくれていた1年目の三吉くんが感動していましたけど(笑)