どうも、スタイリストの大田垣です。
前回までの話は、
髪質改善って要は前処理、後処理の考え方ですよー。
で、その前処理、後処理って重要なんですよー。
って話でした。
今回は、前回チラッとお話しした、
髪のダメージの1番の原因は、実はパーマやカラーです!!
という事について詳しく深掘りしていこうと思います。
pH値について
まず、髪を扱う上で超重要なこと。
それがpH(ペーハー)。
酸性とかアルカリ性とかですね。
7が中性。1に寄れば寄るほど酸性が強く、14に寄れば寄るほどアルカリ性が強い。
髪の毛のPHは、およそ5.5と言われており、弱酸性。
髪はPHの影響を受け、5.5を基準に、、、
酸性が強くなると、収れん。キューティクルが引き締まる。ガシッと硬くなる。
アルカリ性が強くなると、膨潤。キューティクルが開き、膨らむ。トロッと柔らかくなる。
これらの特性を使って、パーマやカラーでは、髪をアルカリ性にすることでキューティクルを開け、そこから薬剤を中に浸透させるのです。
カラーやパーマでアルカリ性になった髪はその後どうなる?
アルカリになった髪はその後どうなるでしょうか。
勝手に弱酸性に戻ってくれたらいいけど、そういうわけにもいきません。
幸い、中性である水によって、ある程度のPHは戻せるかもしれませんが、中性に晒したところで弱酸性まで戻るはずがありません。
それどころか、
pH=11の液体と、pH=7の水を1:1に混ぜたら、間のpH=9になるのか?といえば、
なりません。せいぜい、9.5~10くらいではなかろうか。
数値が高ければ高いほど、戻すのにも力が要るのです。
なんなら、弱酸性の髪を基準に考えると、中性自体がアルカリ寄りなので、水に濡れていること自体が不自然な状況なのです。
アルカリは、なにもしなければ残ります。(残留アルカリ)
アルカリの状態で日々を過ごすとどうなるか。
キューティクルは開きっぱなし。
ということは、髪の中の栄養やら色素は抜けやすいし、外からの刺激も受けやすい。
加えて、弱アルカリという環境は、実は汚れが溜まりやすく、菌が繁殖しやすいので、不衛生にもなりやすいのです。
パーマとカラー、どっちが傷むの?
これは一概には言えません。痛む場所やメカニズムが違います。
パーマ剤はpH=8~9くらい。
カラー剤はpH=9~11くらい。
メーカーや製品によっても異なります。
パーマのダメージ
実はphはパーマのほうが小さいです。あれだけアルカリの話をしておきながら、カラーほどキューティクルを開く必要はありません。
しかし、パーマはpHによるダメージだけではなく、テンション(引っ張り具合)などによっても左右されます。
髪の結合を切って、再結合させることで形状記憶をさせるのも特徴。
ツイストパーマを想像してみてください。雑巾絞りしながら繊維を切って、くっ付けるようなもんですから。
傷まんわけがない。
(↑ 友人に優しい雑巾絞りヘア。)
カラーと違って”動き”に直結するので、痛んで感じやすい部分はあるかと思います。
縮毛矯正ともなると、切ってくっ付けて…に必要なパワーも格段にあがりますし、そこに熱も加わる。
デジタルパーマも、縮毛矯正ほどのパワーは要らないにしても、熱ダメージが加わります。
アルカリが残留している他に、再結合が甘い、結合を必要以上に切り過ぎている。
簡単に言うと、内側のダメージで、中のたんぱく質が流れ出やすい。場合によっては熱を加える。
カラーとは違う、このあたりがパーマにおけるダメージです。
結合系のダメージは、髪がビヨンビヨン、ゴムみたいになりがち。
有効なケアとしては、ケラチンや、ヘマチンなど、芯に関わるタンパク質を補充し、強度を高めてあげることです。
カラーのダメージ
カラーはパーマに比べて、pHの数値は少し高め。それだけ、キューティクルを開かないと、色素が入っていかないのです。
その上で、髪の中にある間充物質(脂質層)に影響を与えます。文字どおり、髪の中身を満たしている部分です。
黒い色素であるメラニンを破壊することで脱色し、その空いた隙間に色素を入れることで髪が染まります。
その色素が抜けてしまうと、再び空洞化し、それがパサつきの原因となります。
どんなにパサついても、染めたては綺麗なのは、その空洞が色素で満たされているからです。
明るくすればするほど、破壊されているメラニン量が増えているので、空洞は増え、痛みます。
キューティクルを開く分、外側に負担がかかりやすく、加えて脂質層のダメージもある。
これがカラーのパサつき。
ブリーチが痛むのは、この破壊力がずば抜けているからですね。
カラーによってダメージした脂質層のケアには、セラミドなどが含まれているケア剤が有効であり、
オイル系や、クリーム系のアウトバスでキューティクルを補強してあげるのも重要です。
まとめ
話しているうちに、髪質改善のメニューとはあまり関係ないように感じてしまいましたが、、、
アルカリの調節も、脂質層のケアも、芯の補強も、しっかりできます。
カラーとパーマはそもそもダメージのメカニズムが違うので比較は出来ません。
「どこがどのように傷むのか」によって、有効なケア手段が異なる。
これだけ知っていただけると、頑張って書いた甲斐があります(笑)